PENTAX K30 黒死病の治療を試した話

皆さんこんにちは!
今回はバイクではなく、カメラのお話です。
Pentaxの旧機種には有名な不具合として、絞り制御不良というものがあります。
これは、機体内の絞りを制御する部品(ソレノイド)が動作不良となってしまい、シャッターを切った時に絞りが開かなくなってしまうという現象です。
素掘りが開かなくなると真っ暗な写真が撮れてしまいますから、黒死病などと言われ語り継がれているのです。
PENTAXと黒死病
さて、大分不穏なキーワードですがw
PENTAXの一時期に生産されていたカメラは、ちょっと特殊な造りをしていることで、界隈では有名です。
私の所有しているカメラのうちの一つ、K30もその対象。
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これらのカメラは
ソレノイド
という部品を使ってシャッターを切る
簡単に表現しちゃうと
絞りの値に関わらず、シャッターボタンを押されるまで絞り羽が全閉されていて、カシャ!の瞬間に任意の絞りまで開く仕組みらしいんですね(ちょっとニュアンスが違ったらごめんなさい)
で、このソレノイドを開け閉めさせているのが
磁石
なわけですが、このソレノイドに使われている鉄の部品が帯磁してしまい、絞り羽を閉めたまんまにしてしまう為、絞りド解放で炎天下で撮っても
真っ暗な写真が撮れてしまう
その症状から
黒死病
等と呼ばれているようですw
治療方法と改善に至る様々な“説”
さてこの症状
実は帯磁が主たる原因かどうか怪しい、とする説があったりします。
その説のいくつかは以下の通り
- 単三電池で使うと発生しない。
- 金属部品を外し、しばらく置いてから戻すと直る。
- 帯磁しないようほんの薄い敷物を噛ますと今度は絞り羽が閉じなくなる。
というもの。
磁気で開け閉めしているものが、ほんの薄い敷物をかましただけで磁力が及ばなくなる、というのはちょっと???ですよね。
また、単三電池で使うと発生しない、というのがとても気になります。
様々な実験をされている有志の方がTwitterにはいらっしゃって、TLを拝見してみると
・単三電池(ニッケル水素)はリチウムのバッテリーと比べて電圧が低く、ソレノイドに伝わる電圧も低い。
・電圧が高いと黒死病が発生し、低い電圧での駆動ならば発生しない。
・チップ抵抗を噛ませて電圧を下げてからリチウムで駆動すると発生しない。
こ、これは面白い!w
電圧が上がれば電磁石もパワーが出てしまうから、帯磁しているソレノイドは開閉がうまくいかないということなのでしょうか?
しかし後日談、チップ抵抗を咬ましたものから抵抗を取り外したところ
なぜか黒死病が回復してしまった、との事w
ん〜これは仮説ですが、ある一定以上の電圧が長時間かかってしまうと帯磁してしまうが、一定値以下ならば帯磁→除磁できてしまう、ということなのでしょうか?
謎は深まるばかりです・・・
修理してしまう
さて、私の手元にあるk30は、光学プレビューを数回繰り返してやると症状が改善する、いわゆる軽傷個体です。
しかし、毎回使う前に光学プレビューやレリーズを繰り返してから写真を撮るのも苦痛なので、直してしまおうと思いますw
というわけでレッツ分解!w

底面だけでなく、すべてのネジをはずしてやる必要があります。
面倒ですが、結構ネジのサイズがマチマチなので、紙にメモでもしながら、あればマグネットシートとか使いながらやるのがベターと思います。

で、このフィルム状のケーブル、フレキって言うんですけど、めちゃくちゃ簡単に割ける上に、裂けたら交換するしかないので、慎重に開けてくださいw
一気にバーン!って開けると裂けてしまう恐れがありますw

そして前面まで分解できたら、ちょっと分かりづらいですが、マウントフランジの赤い点のすぐ左にあるコイルの巻かれた下駄の底みたいな部品にアクセスできます。
外してしばらく放置して、“ほんの気持ち、少しだけヤスリで削る”か、“ほんの気持ちメッキ位の心意気でハンダを盛る”かで改善するとの報告が多数あります。
そこで、削るとやり過ぎた時に取り返しがつかなくなりますので、ハンダを盛る方向ですすめます。
組み戻して動作確認
さてさてサクッと組み上げて動作チェックしてみます。
カシャカシャ・・・
うん、症状は出ない様子・・・
ちょっとこのまま一晩放置で、翌日の朝に電源入れて再度確認してみます。

お!大丈夫そう!?
いつもなら数時間で再発しますが、今回は発生せず。
とはいえ安心しきっているとまた大変な事になりそうなので、過信は禁物。
しばらく様子を見ていこうと思います。
総括
さてさて取り敢えず復活した様子のK30黒死病。
これでまたちょっと出番を作ってやりたいと思います。
K30は入門機と言われていて、ISO感度も常用可能域はせいぜい1600までと高感度にめっぽう弱いものの
設定値を限定してやるととても良い写りをしてくれるカメラです。

私が初めて所有したレフ機でもあります。
そんなわけでまた思い入れもヒトシオ。
今回はこの辺で終わりたいと思います!
では!
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先日、ヤフオクでペンタックスK-50を落札。到着したカメラは、傷一つない、新品級。
早速、ニッケル水素電池をいれて、手持ちの純正レンズ15~55mmをつけて撮影、
結果、まったく映らない真っ黒。いわゆる黒死病でした。
ネットで、分解せずに治す方法、試しましたが、全然ダメ。本日、試しに、ダイソーでマンガン電池を購入
ダメもとで、電源オン。10~20枚ほどは、真っ黒でしたが、その後、正常に写るようになりました。
理由は、わかりませんが、ネットで、乾電池使用で映るときもあるなど、出ており、電圧の関係かも
と素人ながら考えました。そこで、もう一歩踏み込んで、アルカリ電池でなく、マンガン電池を使用
してみました。結果は、先に述べた通りです。
米国のペンタックス フォーラムでは黒死病の治癒は最終的には日本製のソレノイドに交換することとありましたので、時々黒死病になるK-50の中国製のソレノイド全体を日本製のソレノイドを持っているK-rに移植したところ症状がK-rに移りました。というわけで日本製のソレノイドを持っている機種を準備する前に、次の実験として壊れて使わなくなっていたK-01のストロボのポップアップの中国製の同じ形のソレノイドの金具だけを、黒死病の中国製ソレノイドのそれと交換したところ3ヶ月ほど正常に動いています。なおK-rとK-50のソレノイドは 端子の+,ーの位置が逆で、これを間違えるとソレノイドは動きませんでした。
というわけで、いずれ日本製のソレノイドを別に手に入れるつもりです。調べたところ使える
日本製の「樹脂部分が白いソレノイド」が使われている機種は少なくとも以下のようです。
2個使用されているもの K-100 K-200 K-m K-x istD istDL2 mz-50
1個使用されているもの K-r istDs istDs2 K-10 K-20 mz-30
それとですが、フレキを切るリスクのある上側(軍艦部)は全くそのままでも分解できますよ。電池室奥のネジを
外す必要はないです。